「希望の種」とは
枯葉剤被害者の⼦どもやきょうだいを対象とした奨学金基金。映画監督の坂⽥雅⼦が提唱者となり、ハノイの VAVA とともに設⽴、運営。経済的な理由で専⾨学校や⼤学への進学が厳しい子どもたちの教育と生活を支援している。枯葉剤問題に関わる原動⼒となった夫で写真家だったグレッグ・デイビスの死を、再び⽣きる⼒に変えるという望みをもって「希望の種」と名付けられた。
2010 年から約 10 年にわたる活動の中で、これまでに 1000 万円以上の寄付が集まり、100 ⼈以上の⼦どもたちの教育を⽀援している。2022 年現在も 10 ⼈~15 ⼈程度の⼦どもたちが奨学⽣として勉強に励んでいる。
枯葉剤被害者の現状
ベトナム枯葉剤被害者の会(VAVA)は2004年に米国の枯葉剤を製造した化学会社ダウ・ケミカル、モンサントなどに対し補償を求める訴訟を起こしましたが、2009年の最高裁の棄却により法的手続きによる米国からの救済は不可能となりました。現在に至るまで、市民団体などが議会を動かし補償をする立法をめざしていますが実現できていません。この間も、ベトナムの被害者達は困難な生活を余議なくされています。アメリカの大きな財団なども枯葉剤被害者の支援に取り組んでいますが、寄付の額は大きいものの、なかなか当事者にまで届かないという状況です。
基金の詳細
●対象者
クアンチ省の8人の奨学生ベトナムの南、北、中部それぞれの地域から、特に貧しく被害の多い省(北:ホアビン省、中部: クアンチ省、南部:カントー省)で、⾼校を卒業 して⼤学、あるいは専⾨学校に⾏きたいが資⾦⾯ で問題を抱えている⼦どもたちを対象としている。VAVA の各⽀部から候補者を6~7⼈推薦してもらい、その中から 15~20 ⼈を選抜する。
●支援金額
カントー省での奨学金授与式奨学⽣となる⼦どもには⽉ 25 ドルを3年間補償。⼀⼈あたり⽉ 25 ドルあれば彼らの望みがかなえられる。奨学⾦は3ケ⽉分まとめて⼦どもたちに直接渡される。
●奨学⽣たちの声
ズオン・ホン・ギア(クアンチ省)
奨学⾦を頂けてとてもうれしく感動しています。皆さんの愛情はいつまでも忘れません。このお⾦は私にもっと勉強する意欲を与えてくれます。おかげさまで今年はとてもいい成績をとれました。私は⾼校⼊試で 36 点とりました。あまりいい点ではありませんが、9年⽣で努⼒した結果です。いただいた奨学⾦は学⽤品を買ったり、医療に使ったりしました。
おかげさまで⽣活状況もよくなりました。皆様の愛情にお応えできるようこれからも頑張っていきたいと思います。皆様のご健康とお幸せをお祈りします。
レ・チャン・カイン・ホア(クアンチ省)
希望の種の奨学⾦をいただいたことに⼼からの感謝の気持ちを表したいと思います。私たちの⽣活は楽ではありません。ですからこの⽉々の奨学⾦は私たちにはとても⼤切です。このお⾦でノートやペン、インキなどの⽂房具を買いました。
⽣活の困難や、⾝体、精神上の苦難を乗り越えるためベストをつくすことをお約束します。
⽇本の⽅々が私たちに援助の⼿をさしのべてくださったことを⼀⽣忘れません。皆様の援助に感謝するとともに⽇本の皆様が地震で被った⼤きな被害に対してこころより同情申し上げます。⽇本がこれらの困難に打ち勝って強固な経済を再建されることを願っています。
●寄付について|坂⽥雅⼦監督より
ベトナムは驚異的な経済発展を遂げたとはいえ、被害者たちはまだまだ取り残されています。被害者を抱える家族の多くは大変貧しい生活を強いられていて、子どもを学校にやることも出来ません。しかし、貧困や障害に苦しむ枯葉剤被害者の子どもたちにも、大きな可能性が秘められています。少しの⽀援があれば教育を受け、⾃⽴できる⼦どもたちもいます。
ベトナムで多くの枯葉剤被害者に出会う中で、私たちの小さな力でも彼らを支えることができるのだと知りました。
私たちが提供できる額は僅かですが、草の根には草の根のやり方があると思うのです。援助できる子供達の数は限られていますが、その小さな波紋がいつかは広がっていくでしょう。この奨学金基金によって、子どもたちの人生に「希望の種」が芽生え、困難な生活の中にも一縷の光をもたらすことが出来るかもしれません。
細々とですが、この活動は今も続いています。ご⽀援いただける⽅は以下の⼝座にお振込ください。⼀⼝ 3000 円からお願いいたします。なお資金が間違いなく被害者の子供達の手に届くことを見届ける責任はハノイのVAVAおよび提唱者坂田雅子が全面的に負います。
⼝座名:ベトナム枯葉剤被害者の会 代表 坂⽥雅⼦
三菱 UFJ 銀⾏ (0005)⻘⼭通り⽀店(084)普通:0006502
※お振込いただいた際は、masakosakata@gmail.com までご⼀報ください。
提唱者と運営責任者
●提唱者|坂田雅子
ドキュメンタリー映画監督。
1948年、長野県生まれ。AFS交換留学生として米国メイン州の高校に学ぶ。帰国後、京都大学文学部哲学科で社会学を専攻。京都に滞在していたグレッグ・デイビスと出会う。1976年から2008年まで写真通信社に勤務および経営。2003年、グレッグの死をきっかけに、枯葉剤についての映画製作を決意。2007年、『花はどこへいった』完成。毎日映画コンクールドキュメンタリー映画賞、パリ国際環境映画祭特別賞、アースビジョン審査員賞などを受賞。2011年、2作目となる『沈黙の春を生きて』発表。仏・ヴァレンシエンヌ映画祭にて批評家賞、観客賞をダブル受賞したほか、文化庁映画賞・文化記録映画部門優秀賞に選出。2011年3月に起こった福島第一原発の事故後から、核や原子力についての取材を始め、2014年に『わたしの、終わらない旅』、2018年に『モルゲン、明日』を発表。2020年8月、ベトナムの枯葉剤被害をテーマにした最新作にして集大成となる『失われた時の中で』がポレポレ東中野ほか全国にて公開予定。
●運営者|VAVA
正式名称:Vietnam Association of Victims of Agent Orange/Dioxin
2003 年 12 ⽉、ベトナム国務省、許可NO84/2003/QD-BNDの認可を受けて正式に発⾜。枯葉剤被害者、その⽀持者らのボランティア団体で、現在ベトナム国内の 50 省に⽀部をもつ。その活動⽬的は枯葉剤被害者達に国内および国際的な援助の⼿を差し伸べ、彼らの社会的参加を可能にし、⽣活を改善すること。また⽶国の責任を明らかにし、この化学剤による問題の解決をはかることである